命より大切なものを抱きしめて・・・涙と感動を呼ぶキタキツネ親子の愛の絆。
チロヌップのきつね
文部省選定
日本PTA全国協議会推薦
製作:古川博三/田代敦巳
原作:高橋宏幸(金の星社刊)
企画:伊藤正昭
脚本:松山善三
音楽:後藤悦治郎(紙ふうせん)

声の出演:音無美紀子 他
製作:ヘラルド・エンタープライズ/グループ・タック
【1987年/カラー/アニメーション/1時間12分】
かいせつ
 『チロヌップのきつね』は、太平洋戦争が激しくなってきた昭和19年に、 原作者である高橋さんが実際に体験したことをもとに製作したアニメーション映画です。 高橋さんが千島のウルップ島(作中ではチロヌップ=アイヌ語で狐の島)に上陸した時、 番小屋に住んでいた初老の夫婦が「どうか、狐を可愛がってくだされや」と言いのこして、 内地へ帰りました。ところが春、きつねざくらが咲く頃になって、島のあちこちで密猟者 のしかけたワナがいくつも発見されたのです。その一つに、子狐の小さな白骨体が ありました。この時、高橋さんの胸に、どこへも向けようのない怒りがこみあげて きたそうです。そんな思いが『チロヌップのきつね』になりました。この物語は、 小学校三年の国語の教科書にもとりあげられているので、みなさんもよくご存知と 思いますが、この映画を観て、ほろびゆく自然、ほろびゆく動物達に対して、 さらに深い愛情と保護の気持を持って下さればと思います。
おはなし
 北の海にチロヌップという小さな島がありました。春、きつねざくらが咲く頃に、 二匹の可愛いきつねが生まれました。男の子の名前はカン、女のこの名前はコロ、 父さんぎつねのケン、母さんぎつねのチンと一緒に毎日仲良く暮らしていました。 毎年、春になると、こんぶ採りにやって来る老夫婦が島に着きました。老夫婦は、 お地蔵さんの前で、親からはぐれてしまったコロと出会い、自分達の子供のように かわいがりました。
 やがて秋がきて、戦争は日々激しくなり、兵隊達が島にやって来ました。 兵隊は、きつねの毛皮ほしさに、きつね親子を狙い、カンとケンは鉄砲で 撃たれてしまいました。家族のもとにもどったコロも、兵隊のしかけたワナに はまってしまい、身動きができなくなってしまいました。動くことのできなく なったコロに母さんぎつねのチンは、一生けんめいにエサを運び続けました。
 やがて冬になり、雪が降り始めました。チンは歩くのも苦しくなり、エサを運んで やることもできなくなりました。抱きあったチンとコロの上に、雪がたくさん 降り積もっていきました。
 何年かたち、戦争も終わり、春がきました。老夫婦は又、チロヌップ島に やってきました。丘の上に行くと、あたり一面にきつねざくらが咲いていました。 よく見ると、きつねざくらは二つのかたまりになって、よりそうように咲いていました。 そばには、ぼろぼろに錆びた、くさりのワナが残っていました。そして、そこには赤い リボンのような花がぽつんと、悲しげに咲いていました。
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