けわしい山々を超え
東シナ海の荒波を渡り
大陸の強い風に向かって
ゴロー
走り続けろ!
甲斐犬ゴロー
原作:柚木象吉〈実業之日本社刊〉
プロデューサー:伊藤正昭/田代敦巳
脚本:井手俊郎
監督:前田庸生
製作:グループ・タック
【1988年/カラー/アニメーション/1時間18分】
かいせつ
 鉄一家とその愛犬・ゴローとの幸福な暮らしは、太平洋戦争によって引き裂かれて しまいます。ゴローは、離れ離れになってしまった主人との再会を夢見て放浪の旅を 続けます。そして、遂には、戦地であるビルマにまで渡り、奇跡的な再会を果たす ことになるのですが…。
 この「ゴロー‐GORO-」は、柚木象吉の原作「ああ!五郎」のアニメーション 映画化です。同作品は1968年、日本児童文学者協会新人賞を受賞、現在、 実業之日本社より少年少女傑作選の中の一篇として発刊され、多くの子供たちに愛読 されている児童文学です。
 現代において“戦争賛成”という人間は、誰一人としていないでしょう。しかし、 この地球上では、いまだにどこかで、戦争が起こっているのです。人間のこの矛盾…。 ゴローと鉄の絆を通して、未来を築く子供たちに、戦争に対する何かを感じてもらいたい。 そして、いつの日か“戦争”という言葉すらこの世からなくなってくれれば…。 「ゴロー‐GORO-」には、そんな思いが込められています。前田庸生監督以下、 アニメ会の一流のスタッフが結集して、“愛と感動”、“平和の大切さ”を子供たちに 贈る映画を作り上げました。

ものがたり
 八巻鉄一家と甲斐犬・ゴローは、山梨の小さな山村で平和に暮らしていました。 4年前、捨犬だったゴローを腕利きの猟師である鉄が拾って育ててくれたのです。 妻の澄子と長男・和夫の3人の家族の愛情に包まれて、ゴローは、たくましく 成長していました。
 昭和18年秋、山村にも太平洋戦争の暗い影が忍び込もうとしていました。ある日、 とうとう鉄のもとにも赤紙が来ました。鉄はその晩、満天の星の下、ゴローを抱きしめ、 家族との別れを惜しみました。鉄の出征後、ゴローは淋しさを紛らわすように峠から 猪ん平の山々に向かって吠え続けました。
 そんな直後、追いうちをかけるようにゴローを軍用犬として連れていく、 という命令が届きました。澄子も和夫も一生懸命取り消しをお願いしました。 が、軍の命令は絶対だったのです。
 気がつくとゴローは、オリに入れられ、貨車に揺られていました。ところが、 機敏なゴローは、貨車が立川駅に着いたとたん、一瞬のすきをついて逃げ出して しまいます。故郷の猪ん平をめざしてひた走るゴロー。けれど、道は遠く、 敵もたくさんいました。
 横浜の街中に迷い込んだゴローは、突然野犬たちに襲われました。猟犬として 鍛えられたゴローは強く、野犬たちはかないません。いつのまにか野犬たちのボスに なってしまったゴローは、次第に狂暴化し、かつてのやさしい面影は、徐々に 消え失せていきました。
 ある時、ゴローたち野犬の隠れ家が警防団に見つけられ、ゴローは、 命からがら逃げ出しました。いつかゴローは、横浜港の貨物桟橋に佇んでいました。 その時、ゴローは、一隻の貨物船に、ふと鉄の気配を感じたのです。猛然と甲板に 駆け上がり、その気配を追い求めるゴロー。夢中で捜すうちに船は港を離れて しまいました。そして、兵士たちに発見されたゴローは、たちまち海に放り込まれて しまったのです。
 溺れかけたゴローを助けたのは、小さな発動機船に乗った酒匂軍医でした。 ゴローは、軍医と看護婦たちに“アロー”と名付けられ、可愛がられました。
 やがて船は、大陸に到着しました。ゴローは、とうとう海を渡ってしまったのです。 この広い大陸のどこかで、鉄は戦っているはずでした。酒匂軍医に連れられて運命の 旅が始まりました。はたして鉄と会うことができるのでしょうか。はたしてゴローは、 どこまで行くのでしょうか。

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